相続放棄した家が倒壊したらどうなる?空き家の相続と相続放棄についての注意点
親族が亡くなり、故人の家を相続することになったことで、空き家にしてしまうことに不安を感じている人は多いのではないでしょうか。
特に、遠方の物件や老朽化した物件を相続した場合、管理の負担や将来的な倒壊リスクなど、様々な悩みを抱えることになります。
そんな時、相続放棄という選択肢が頭に浮かぶかもしれません。
しかし、相続放棄をすれば、空き家の管理責任から完全に逃れられるのでしょうか。
今回は、相続放棄した家が倒壊した場合の責任や、相続放棄の注意点、空き家の管理責任から完全に逃れる方法について解説していきます。
□相続放棄した家が倒壊したらどうなる?
相続放棄は、故人の財産を受け継ぐ権利を放棄することです。
相続放棄をすれば、故人の預金や不動産などの財産はもちろん、借金などの負債も全て放棄できます。
一見、空き家の管理責任から逃れられるように思えますが、実際にはそうではありません。
相続放棄をした場合でも、次の相続人が相続財産の管理を開始するまでの間は、相続放棄をした人に管理責任が残ります。
つまり、相続放棄をした家が倒壊した場合、相続放棄をした人も責任を負う可能性があるのです。
1: 管理責任が残る理由
相続放棄をした場合、相続権は次の順位の相続人に移ります。
しかし、次の相続人が相続放棄をしたり、相続人がいない場合は、相続財産管理人が選任されるまで、最初の相続人に管理責任が残ります。
これは、民法第940条第1項で定められている通りです。
2: 倒壊した場合の責任
相続放棄をした家が倒壊した場合、相続放棄をした人は、倒壊によって発生した損害に対する責任を負う可能性があります。
例えば、倒壊によって近隣の住宅が損壊した場合や、通行人が怪我をした場合、損害賠償請求される可能性があります。
また、倒壊の危険がある状態を放置していたことで、行政から指導や罰則を受ける可能性もあります。
3: 管理責任から完全に逃れるには
相続放棄をした人が、空き家の管理責任から完全に逃れるためには、「相続財産清算人選任の申立て」を行う必要があります。
相続財産清算人とは、相続人に代わって相続財産の管理をする人のことで、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれます。
相続財産清算人が選任されると、相続放棄をした人は、空き家の管理責任から解放されます。
□空き家を相続したくない!相続放棄は可能?
相続放棄は、故人の財産を受け継ぐ権利を放棄することですが、安易に選択できるものではありません。
相続放棄には、メリットとデメリット、注意点があります。
相続放棄を検討する前に、これらの情報を理解しておくことが重要です。
1: 相続放棄のメリット
・相続税や固定資産税などの税金がかからない。
・故人の借金などの負債を負う必要がない。
・空き家の管理責任から解放される可能性がある。
2: 相続放棄のデメリット
・故人の全ての財産を放棄しなければならない。
・相続放棄の手続きには期限がある。
・相続放棄をした場合でも、管理責任が残る可能性がある。
・相続財産清算人を選任する必要がある場合があり、手続きが複雑で時間と費用がかかる。
3: 相続放棄の注意点
・相続放棄は、故人の全ての財産を放棄することなので、故人の預金や不動産など、プラスの財産も全て放棄することになります。
・相続放棄の手続きは、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内にしなければなりません。
・相続放棄をした場合でも、次の相続人が相続財産の管理を開始するまでは、相続放棄をした人に管理責任が残ります。
・相続財産清算人を選任する場合、裁判所に予納金として20万円~100万円を支払う必要があります。
・相続財産清算人の報酬は、相続財産から支払われますが、相続財産が少なくて報酬が支払えないと見込まれるときは、予納金を報酬に充てられることがあります。
4: 相続放棄は慎重に検討しよう
相続放棄は、故人の財産を受け継ぐ権利を放棄するものであり、慎重に検討する必要があります。
相続放棄をする前に、弁護士などの専門家に相談し、メリットとデメリット、注意点などを理解した上で判断することが重要です。
□まとめ
相続放棄は、空き家の管理責任から完全に逃れられる万能な手段ではありません。
相続放棄をした場合でも、管理責任が残る可能性があり、相続財産清算人を選任する必要がある場合もあります。
空き家の管理責任から完全に逃れたい場合は、相続放棄よりも、相続を済ませてから売却することを検討しましょう。
売却することで、管理責任から解放され、相続税や固定資産税などの税金も回避できます。
相続や空き家のことでお困りの際は、当社のような専門家に相談することをおすすめします。
2024.09.11